親の借金を相続したくない!「相続放棄」とは?
2024.06.01
借金を相続しない方法はある?
親に多額の借金がある、親が亡くなったあとに借金があることが発覚した…など被相続人(亡くなった方)に借金がある場合、相続人である自分が借金を引き継いで返済しなければならないのか、とお困りの方がいらっしゃるかと思います。
実は、「相続放棄」をすれば、借金などの負債を一切引き継がずに済ませることができます。
この記事では「相続放棄」とは何か、相続放棄のメリットやデメリットについて解説します。
相続放棄とは
そもそも相続では、亡くなった方の財産と全ての権利、義務を引き継ぎます。
そのため、プラスの財産(現金、不動産など)もマイナスの財産(借金など)も亡くなった方から全て引き継ぐことになります。亡くなった方に借金があれば、相続人がその借金を支払う義務を負うことになります。
しかし、相続人には「相続を放棄する」権利が与えられています。相続人としての地位を放棄することができるのです。相続放棄すると、その人は初めから相続人ではなかったということになります。
これにより、被相続人の借金を一切引き継がなくてよくなるのです。
では、相続放棄はどうすればできるのでしょうか。
相続放棄には3ヶ月以内に家庭裁判所での手続きが必要
相続放棄をするためには、自己のために相続の開始があったことを知った時から、3ヶ月以内に家庭裁判所に相続放棄の申述をする必要があります。
この「自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内」というのは、通常は被相続人が亡くなってから3ヶ月となり、特別な事情(疎遠にしていたために亡くなったことを知らなかった、督促状が来て初めて被相続人に借金があることを知ったなど)があるときは、亡くなった日から3ヶ月が過ぎても手続きできる場合があります。このため、被相続人の生前に相続放棄はできません。
なお、財産の調査に時間がかかるときなどは、家庭裁判所に申し立てをすれば期間を伸長することができます。ですが、3ヶ月を過ぎてしまうと、原則として放棄ができなくなるという点に注意しましょう。
相続放棄の申し立ては、相続放棄申述書を作成して、申し立てをする人の戸籍謄本や亡くなった方の戸籍謄本など必要な書類と一緒に家庭裁判所に提出することでできます。
相続放棄をする際の注意点
相続放棄には、借金などの負債を引き継がなくてよくなるというメリットがありますが、注意すべきこともあります。
まず一つ目は、相続放棄をすると、資産も相続できなくなるということです。
相続する財産のうち、借金だけ放棄するというようなことはできません。相続放棄する場合は、不動産などのプラスの財産も放棄することになります。放棄する前に、財産調査を行い、プラスの財産とマイナスの財産のどちらも把握したうえで、本当に放棄したほうが得になるのかを確認することが大切です。
次に、一度相続放棄すると取り消しができないということです。
裁判所に申し立てを行い、受理された場合は、その後は取り消すことができなくなります。そのため、あとで資産が見つかったということがあっても、その資産は相続できなくなってしまいます。
そして、相続放棄をすると、別の親族が相続人になるという点にも注意が必要です。
相続放棄をすると、放棄した人は相続人ではなくなりますが、新たに別の親族が相続権を得ることがあります。
例えば、子供全員が相続放棄をすると、亡くなった方の親や兄弟姉妹など次の相続順位の人が相続人となります。負債を引き継ぎたくない場合は、新たに相続人となった人も相続放棄の手続きが必要となります。
トラブルを避けるため、相続放棄をする際は、事前に他の相続人にもその旨を伝えておくとよいでしょう。
相続財産に借金が多い場合は相続放棄を検討しましょう
相続する財産に負債が多いときは「相続放棄」をすることで、返済義務を負わずに済みます。
ですが、相続放棄をする際には注意すべき点もあります。また、3ヶ月という短い期間で手続きを行わなくてはなりません。
財産の調査をしっかりした上で、本当に相続放棄を行うべきか判断しましょう。
もし、自分で手続を行うことが難しいと思ったら、専門家に依頼することも考えてみましょう。